エコロジー的発想と宮入貝

明治以前、日本の風土病とされていた日本住血吸虫症という寄生虫による感染症があった。この病気が感染症であることがわかってから、中間宿主である宮入貝の絶滅に血道を上げている人たちがいたらしい(明治になって絶滅宣言が出された)のだけれど、今この世の中にあってエコロジー的発想から言えば日本人の一部の人が犠牲になる病気を防ぐためだけに特定の種を絶滅させるのはエコロジーの考え方に激しく反するということに気づいた。
生物の食物連鎖のピラミッドの上で宮入貝がどういう役割を担っていたかは知らないけれど、種の保存について当面心配のなかった日本人のために宮入貝を絶滅させることは妥当ではなかったのではないか。ひょっとしたら宮入貝は田んぼの環境改善に大きな役割を果たしていたのではないか。という可能性も考慮しなくてはなるまい。

人間の考えることは常に浅はかである。コンピュータの処理速度が足りないからといってDualCoreにしてみたりメモリを4G積んだりとかにするのとよく似た発想で、新しいものは常に古いものよりも優れているという発想が今の世界的な精神的貧しさとリンクしている気がする。